物流業界激震M&Aや売却がこれからも増えていく

企業が成長していく過程において、その阻害要因はいくつかあります。最も大きなものは市場です。将来性はありそうなのに、現在の市場規模が小さい場合、自ずと企業の成長は抑えられます。また、ある点から市場は加速度的に成長する時期を迎え、企業の成長阻害要因とならなくなりますが、市場が成熟期を迎えると市場規模は飽和点に達してそれ以上は大きくなりません。ここで企業の成長も抑制され始めます。さらに市場が衰退期に差し掛かると、企業は成長どころか淘汰の時期を迎えます。これがひとつの経済サイクルです。さて、これを物流業界に当てはめてみますとどうでしょうか。日本における貨物量は、年々増えており、衰える気配はありません。これは市場の成長期に当たるということなのです。ところが業界ではM&Aや売却の案件が沢山あり、その傾向は今後も更に進んでいくと予想されています。それはどうしてなのでしょうか。

市場は成長していきそうなのに企業が成長しない要因

物流市場は、貨物量の増大という面から見ると、成長市場であり、今後とも成長を続けると予想されます。経済活動が活発になればなるほど、物の移動は頻繁になるからです。また、かつての大量生産大量消費時代には、工場から大店舗へ大量の荷物を一度に運ぶ能力が求められましたが、現在はネット市場や少量多品種生産への移行が進み、小口配送が主流となっています。結果として、配送量は増えていくのです。このような成長市場にも関わらず、事業を売却する流れが強まるのは何故かというと、その主な要因は供給側にあります。すなわち、長時間労働、過酷労働を嫌って、労働力が集まらないのです。いくら仕事があっても、これを処理する人員がいなければ経営は成り立ちません。中小の規模では労働力を確保出来ずに事業売却に至るケースが増えているのです。

日本の構造的な問題に対処するには

中堅以上の会社でも人手不足は深刻で、労働力の確保は経営の最重要課題です。賃上げも動きも出てきましたが、それでも急速に人を集められるものでもありません。遂に、受託量を制限する大手まで現れましたが、会社が成長を諦めるという事は、根本において出来ない事です。この現状を打開するための有効な手段が、M&Aです。簡単には人手を集められない物流業界では、既に業界で働いている人を自社に取り込むことが出来るM&Aは、労働力確保には即効性のある手なのです。しかも、M&Aによって確保された人材は、元々同業ですから、改めて社員教育を施す必要もありません。競合他社を買収することが出来れば、シェアを伸ばすことも出来て、更に取引先に対しての価格決定力を向上させる効果も期待出来ます。