少子高齢化社会での物流を企業売却やM&Aから考える

物流業界は、慢性的な人手不足の中にあります。この状態は悪化するにせよ改善のきざしは見えません。これまで、過当競争の中にあった物流業界は、料金据え置きが常態化している中で、取扱量を増やすことによる業績拡大を指向していましたが、ここに来てその路線も限界を迎えてきたようです。大手が相次いで値上げの方針に舵を切りました。ここで得た利益は、これまで過重労働、長時間勤務の下にいた従業員たちの給与に反映されるものと考えられます。しかし、給与水準がアップすれば人材確保が楽になると考えるのは早計です。少子化の影響で、新しく市場に入っている労働者の総数は減り続けています。これは長期的な問題ですので、突然労働者の総数が増えることはありません。今や労働者の確保は、日本企業全体が直面する問題なのです。

賃金をアップしても人が集まらない

企業の資産の大きな部分は人です。特にトラックを運転するドライバーの確保が絶対的に必要な物流業界の場合、この人材確保はまさに死命を制する経営課題といえましょう。しかし、ただでさえ少なくなりつつある新規労働者を他業界も含めて争奪する様相を呈している現状では、多少の賃上げ位では、長時間勤務、過酷労働というイメージが定着してしまったこの業界はリクルートには明らかに不利です。事業自体は健全でも、人が集まらなければ継続発展させていくことは出来ません。そのような苦境にあるのであれば、M&Aは有効な手段です。既存企業を買収するM&Aで事業拡大を目指しても、あるいはこの事業には見切りをつけて売却してしまうのでも、適正な相手先を選べれば、現状維持以上の結果をもたらす効果が期待出来ます。

新規人材確保が難しいならM&A

まず、事業を廃業してしまうよりも売却するほうが、事業自体が存続するという大きなメリットがあります。オーナーにとっては、売却によって得られた利益を、別の事業や自身の資産として保有することが可能となります。従業員にとっても、雇用は確保されますので、無用なトラブルを避けることが出来ます。債権者にとっても、取引先が消滅するわけではないので、リスクはありません。顧客にとっても、これまでの取引が継続される可能性が高く、ここでも問題発生の芽が最小で済みます。M&Aは売却側にとっても非常にメリットがある手法なのです。もちろん、買収側のメリットも充分にあります。そもそも買収にメリットを感じなければ、投資することを承知はしません。買収されるということは、それだけ事業に魅力があるということなのです。